48年前に購入されたご実家のピアノを、新居で再び響かせるために・・・
今回は、「実家に長年置いてあったグランドピアノを、新居に迎え入れたい」というご相談をいただいたお客様からのご依頼で、アクションと鍵盤をお預かりし、整備させていただいた事例をご紹介します。
■ ご相談内容
ピアノは約48年前に購入されたグランドピアノ。
お母様がご自宅で開いていたピアノ教室、そしてお子様の練習用としても大切に使われていたそうです。
しかし、ここ20年ほどは演奏される機会が減り、調律もこの5年間は行っていない状態。鍵盤が数カ所戻らなくなっており、「このまま使い続けるのは難しそう。でも、思い出の詰まったピアノを再び弾けるようにしたい」とのご希望でした。
■ 現地での確認とご提案
現地でピアノの状態を確認したところ、
• 鍵盤の戻り不良(複数箇所)
• アクション(内部の弾く仕組み)に経年変化による摩耗や固着
•ハンマーの状態は長期間使用による変形
などが見られました。
本体ごとすぐに移動するにはリスクがあるため、アクションと鍵盤をお預かりし、整備・修理を行うという方法をご提案しました。

■ 修理・整備の内容
お預かりした部品について、以下の作業を行いました:
• 鍵盤調整・修復
→ 鍵盤小口の張り替え・フロントピンやバランスピンの清掃・錆落とし・潤滑処置
• アクション内の点検と整備
→ ハンマーシャンクのセンターピン調整・交換
→ 連動部の動作確認
• ハンマー整形
→ 過度な摩耗部の修正、弾力性の確認




■作業完了へ
新築工事の終了とピアノ本体の搬出・搬入に合わせ、事前にアクション鍵盤をお預かり→整備修理(1週間)
ピアノ設置完了後ピアノ本体と再び組み合わせる、という流れになりました。







ピアノ設置完了後、改めて全体の調整・・・

全ての作業の最後に、やっと、調律です。


そしてお客様に試弾して頂き、一安心とお喜びの声を頂きました。
お問い合わせから約半年。
長年の思い出が詰まったピアノを、再びご家族のもとへ。
音にふたたび命を吹き込むこのようなご依頼は、調律師にとっても、とても光栄で心に残るお仕事でした。
ありがとうございました。