ニシムラピアノサービスの日常でもあるのですが(笑)
今回は、長年調律が行われていなかったピアノの修理と調律のご依頼から完了までのお話にお付き合いくださいませ。
ご依頼の背景
「数年ぶりの調律です。鳴らない鍵盤があります。」との事で、LINEでご連絡をいただきました。音の狂いに加え、ならない鍵盤、ガシャガシャした異音、などを動画で送っていただいた事で、大体のピアノの状態を予測することができましたが、改めてお見積もりでお伺いさせていただくことになりました。
お客様のお宅を訪れると、素敵な木目のヤマハピアノが静かに佇んでいました。
実際には調律は12年ぶり!それ以前は1979年に購入されてから3回しか調律を行なっていないことが記録カードで判明。
最近まで家の建て替えのため、1年ほど運送業者の倉庫で保管されていたとの事。なかなか過酷な生い立ちから想像するまでもなく、鍵盤には少しほこりが溜まり、弦や内部には時間の流れを感じさせる状態が見受けられました。
ピアノの現状と課題
点検を始めると、次のような状態が確認されました。
• 音程の大幅なズレ
当然、音程はかなり下がっており、半音近くピッチが下がっておりました。
• 湿気による影響
タッチや発音に影響する、いわゆる関節部分が湿気の影響で鍵盤の動きがスムーズではありませんでした。加えて、ヤマハの一時期に製造された機種に見られる、バットスプリングコードの張り替えが急務であること、幸いにもカビや虫食いの被害はありませんでしたが、長年の使用によるハンマーヘッドの変形で音色はかなり金属的で硬質な状態になっていました。
調律と修復のプロセス
ハンマーファイリングや修理などで大量のホコリが出ることもあり、アクションをお預かりすることにしました。
音程を段階的に修正
後日、改めてお伺いし、修理済みアクション取り付け、微調整から、やっと調律の作業に入ります。
音のズレが大きいため、何段階かに分けてピッチをゆっくり引き上げ、弦への負担を最小限に抑えながら調律を行いました。
最終調律と音色の確認
すべての鍵盤が正しい音を奏でるようになった後、全体のバランスと音色が均一になるように仕上げました。
調律後のお客様の反応
一連の作業が完了し、お客様にピアノを弾いていただくと、「全然違う!(良い意味で)」と驚きの声をいただきました。
「こんなに美しい音が出るなんて。本当にお願いして良かったです。」
そう言っていただけた瞬間、調律師としてのやりがいを改めて感じました。
ピアノのメンテナンスの大切さ
今回の事例から、ピアノのメンテナンスがいかに大切かを改めてお伝えしたいと思います。ピアノは定期的な調律を行うことで、音色だけでなく、楽器自体の寿命を大きく延ばすことができます。たとえ長期間使っていない場合でも、定期的に点検や調律を行うことで、再び最高の音を奏でる準備を整えることができます。
ピアノは、ただの楽器ではなく、人々の思い出や感情を宿す特別な存在です。もし長い間調律をしていないピアノがご自宅にあるなら、ぜひお気軽にご相談ください。時間を超えて蘇るピアノの美しい音色を、一緒に取り戻してみませんか?
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*今回の料金内訳*
調律(次回半年後実施を考慮して)¥11,000
ハンマーファイリング ¥12,000
スティック修理 ¥1,000
バットスプリングコード張り替え ¥12,000
消費税 ¥3,600
合計 ¥39,600
PayPayでお支払いいただきました。
ありがとうございました。
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